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スモーキーマウンテン保健衛生プログラムの躍進

支えあい、輝く女性たち
スモーキーマウンテン保健衛生プログラムの躍進

image09.pngフィリピンの首都マニラにあるゴミ捨て場周辺スラム、スモーキーマウンテン。フィリピンの都市貧困層の中でも、最も底辺で生きる人々がここで暮らしています。住民にとって、ゴミ処理場は働く場であり、生活の場でもあります。「常にゴミに接して生きている」といっても過言ではないこの地域で、人々の最大の悩みは、不衛生で危険な生活環境によって引き起こされる病気や怪我です。
スモーキーマウンテンには病院も診療所もないため、多くの住民は病気や怪我をしても、何の手当てもせずに我慢することがほとんどでした。そんな状態をなんとかしようと、2006年にアクセスは、地域内に多目的保健センターを建設しました。現在、この多目的保健センターは、ヘルスワーカー育成研修を受けた住民11人が、アクセスのサポートを受けながら運営しています。


多目的保健センター5つの取り組み
image09.png・健康相談と応急処置
ヘルスワーカー11人(地域住民/有償ボランティア)が多目的保健センターに交代で勤務し、24時間体制で住民の病気や怪我に対応。年間約2700人の患者を受け入れています。
・患者を見つけ出す
ヘルスワーカーは多目的保健センターで患者を待つだけでなく、地域を歩いてまわり、動けない患者や、病気や怪我を我慢している人を見つけ、適切な手当てや助言をします。
 
image07.png・ヘルスワーカー育成研修
ヘルスワーカーの保健衛生に関する知識を増やし、スキルを向上させるための研修を月2回のペースで実施しています。
・住民向け保健衛生セミナー開催
結核、デング熱、下痢の予防法や、家庭での手当ての仕方を学ぶ、母親向けセミナーを開催。過去1年で5回、503人が参加しました。
・健康キャンペーンの実施
手洗いの習慣をつけることで下痢やインフルエンザなどの感染症を防ごうというキャンペーンを実施しています。

*写真:(上)センターで、喘息の発作をしずめる吸入を受ける子ども。 
(下)ゴミ捨て場から拾ってきた資材でつくられた家々が並ぶスモーキーマウンテン地区。

本事業は、庭野平和財団の2011年度助成事業です


住民に安心を提供する多目的保健センター

image09.png24時間体制で初期治療に対応する多目的保健センターが地域内にあることは、住民にとって大きな安心になっています。深刻な病気ではないかと案じ、お金と時間を費やして数キロはなれた病院に行くことは、住民にとって大きな負担でした。多目的保健センターで基本的な手当てが受けられるようになり、多くの住民が痛みや辛さを軽減できるようになりました。
喘息患者からは、「発作が起こっても、吸入器を利用できるので安心」といった声が届いています。また、以前は頻繁に下痢を起こしてセンターに連れられてきていた子どもが、手洗いをしっかり行うようになってから、下痢を起こす回数が減ったという報告もあります。(左の写真:ヘルスワーカー育成講習の様子)



学び、考え、協力するヘルスワーカー
ヘルスワーカーをしているのは、スモーキーマウンテンで暮らす住民です。アクセスの活動に参加するまでは、保健衛生について特別な知識を持っていたわけではありませんでした。アクセスは、「知識はなくとも、地域のために活動しようという想いのありそうな人々」に声をかけ、ヘルスワーカーとして活動するために必要な、基礎的な保健衛生に関する研修を行ってきました。現在、10名の母親と、1名の父親がヘルスワーカーとして活動しています。研修は月2回、さまざまなテーマで行われています
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ヘルスワーカー育成研修テーマの一例
・脈拍、血圧、体温の測定方法
・発熱、高血圧への対処法
・デング熱の原因、予防法、治療法
・薬草の使い方と効能
・指圧による対処法
・抗生物質の良い点、悪い点



写真:アクセス・フィリピン 保健衛生事業担当 ジェニファー・モラロス


アクセス・フィリピン 保健衛生事業担当 ジェニファー・モラロスのコメント

ヘルスワーカーは、地域で信頼され、尊敬される存在
ヘルスワーカーは研修で学んだことをまず、家族が病気になった時に実践します。近所の人や友人にもその知識や経験をシェアします。すると、周りの人たちから頼られるようになり、病気や怪我の相談はもちろん、悩み相談まで持ちかけられるようになります。地域の中で、信頼され、尊敬される存在に変わっていくんです。そうした経験をへて、ヘルスワーカーは「人のために活動し、役に立つ」ことを、喜びと感じるようになってきています。
「病気の原因を理解し、原因に対処することで病気を予防する」実践は、問題を分析し、解決方法を考える訓練になります。そういった経験を通じてヘルスワーカーは団結を強め、地域のほかの女性たちや若者たちも巻き込みながら、立ち退き問題や、家庭内暴力、人権侵害などの問題にもとりくもうとしています。


スモーキーマウンテンで暮らす人々
6500人もの人々が暮らす、ゴミ捨て場周辺スラム「スモーキーマウンテン」。農村から仕事を求めて都市にやってきたものの、職に就くことができず、スラムで小さな部屋を借りる余裕すらもなく、ホームレスになるかゴミ捨て場に暮らすか…という選択肢しか残っていなかったような人々が、簡素な家を建てて暮らしています。ここでは、ゴミの中から換金可能なものを拾いさえすれば、なんとかその日の食費を稼ぐことができるからです


フィリピンの財団、行政、NGOも協力
年間2700人を受け入れ

アクセスの会員・支援者の皆さんや、助成団体(今井記念海外協力基金/庭野平和財団)からの協力のおかげで、これだけ発展してきたスモーキーマウンテンの保健衛生活動ですが、2012年は、フィリピンで活躍するNGOや財団、行政などとの連携もすすみ、さらに多くの住民に医療・保健衛生サービスを提供できるようになりました。
無料診療活動で185人を診察
image09.png2012年6月・7月には、マニラ・チャイナタウン財団と共同で、医師・看護師団をスモーキーマウンテン地区に招いて、無料診療活動(メディカル・ミッション)を実施しました。アクセスの多目的保健センターを会場とし、受付、体温・脈拍・血圧の測定をヘルスワーカーが担当。のべ185人の患者が医師の診察を受けることができました。(左の写真:無料診療活動で受診しに来た患者に、事前説明をする様子)



難しかった結核治療も実現! 
image08.pngスモーキーマウンテン地区で見られる深刻な病気の1つに、結核があります。放置すれば命に関わる病気ですが、病気についての正しい知識が普及していないため、患者は差別や偏見の目で見られることが多く、自分が結核であることを隠す患者が少なくありません。公立の病院やヘルスセンターでは無料で治療が受けられますが、毎日必ずその医療施設に通い、その場で薬を飲むことが条件になっています。結核で衰弱した患者が、片道30分以上かかる医療施設に毎日通うことは、現実的にはほぼ不可能でした。
そんな状況をよく理解し、都市スラムに暮らす貧しい結核患者が治療を受けやすくするための取り組みをすすめているのが日本の公益財団法人 結核予防会です。結核予防会はフィリピン政府の保健省と連携し、結核治療の普及に努めています。トンド地区スモーキーマウンテンでの結核治療を促進するため、現地のことをよく知るNGOと協力したいということで、2011年からアクセスがパートナー団体となり、結核予防会と一緒に結核患者の把握から治療までを行っていくことになりました。
(上の写真:結核予防会とのパートナーシップに関する署名式)


最も活躍したヘルスワーカー」、笑顔で受賞

image07.pngアクセスのヘルスワーカー数名は結核予防会が行う特別な研修を受講し、結核の疑いのある患者を見つけ出して検査機関に紹介する取り組みを始めました。その後、さらに専門的な研修も受けることで、通常なら医療機関でしか扱うことのできない結核治療薬をアクセスの多目的保健センターで預かり、患者に毎日、投薬するという業務もできるようになりました。こうした取り組みの成果が認められ、2012年8月に、ヘルスワーカーのリーダー的存在であるアクセス職員(スモーキーマウンテン住民でもある)が、「最も活躍したヘルスワーカー」として、結核予防会から表彰されました! 7月に住民リーダー殺害事件があり、非常に辛い時期を過ごしていた彼女にとって、保健衛生活動に対する高い評価は、大きな励みになったはずです。(左の写真:最も活躍したヘルスワーカーに選ばれたジェニファー(真ん中)) 


アクセス日本事務局 野田沙良
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フィリピンと日本で貧困問題に取り組む、国際協力NGOです。

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